2.ガムと咀嚼機能(1)

一般に咀嚼とは、われわれが食物を摂取してこれを粉砕し、唾液と混ぜ合わせ、柔らかく擦りつぶす生理的作用をいうが、これは単純なものではなく、口腔内の多くの器官や組織の複雑な機能が調整されて行われるものである。

人間にとって咀嚼の必要性は、食物を粉砕して消化吸収を助けること、食物中の異物や有毒物を発見し、これらが飲み込まれないようにすること、口腔内の衝生を保持すること、口顎器官の血流を促進し、代謝を高めること、味覚器官を刺激して食物を味わい、また消化液の分泌を反射的に促進するなどをあげることができる。

(1)咀嚼力の強化
チューインガムを噛むと咀嚼力が向上することは経験的にわかっていたが、これを実験で科学的に裏づけるデータはなかった。最近、食生活の変化によって硬いものが食べられないとか、食事にかかる時間が長いなど、小児の咀嚼発達が遅れているのではないかという問題が生じている。そこで、このような咀嚼運動が充分に行われていないと考えられる幼児に、硬さ調整したチューインガムを用いて咀嚼運動の訓練を行った。

その結果、訓練開始後三ヵ月目には訓練前と比較して、最大咬合力が約二倍に増加することが認められた。※2これは、チューインガムを用いた咀嚼訓練が、咀嚼機能の発達を促す効果的な方法であることを示している(図2)。

また、チューインガムによる訓練開始後、咀嚼力の向上が確認された子供の母親に対するアンケート調査を行った結果、食べる量が増えたこと、食事に要する時間が短縮したことおよび今まで見向きもしなかった食物に興味を示すようになったことなどもわかった。

同じチューインガムを用いた咀嚼訓練をナイジェリアの幼児について行った結果、二週間で咬合力は約10%しか増加しなかったが、これは通常かなりの咀嚼力で噛んでいるためであろう。これに対し、日本の幼児は顎のもてる力を充分に出しきっていないことが指摘され、咀嚼訓練を行えば、咀嚼能力はさらに向上することが確認された。

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